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 平成26年 韓国特許法等の改正について

 

1.韓国特許法の改正内容


 2014年6月11日に公布*されました改正特許法には、出願形式の自由化及び特許料不納によって消失した特許権の回復基準の緩和が以下の通り盛り込まれましたのでお知らせいたします。
 *施行日は条項によって異なりますのでご注意下さい。下記の(1)~(3)に関しましては2015年1月1日施行が予定され、それ以後に出願される特許が対象となります。(4)に関しましては、2014年6月1日に施行されており、その日以後に出願される特許が対象です。
(1)出願日確保のための明細書の記載要件緩和
 学術論文や研究ノート内で発明を説明したものでも明細書として出願時に受理し、出願日を確保できるようになりました。ただし、出願人は優先日から1年2ヶ月以内に明細書に特許請求の範囲の補正をする必要があります。その期間内に補正をしなければ取り下げと見なされます。
 また、英語表記の明細書を出願することが可能となりました。ただし、こちらも1年2ヶ月以内に韓国語の翻訳文を提出しない限り、出願は取り下げと見なされますのでご注意下さい。

(2)国際特許出願における翻訳文提出期間の延長
 国際特許出願から韓国国内出願に移行した際の韓国語翻訳文提出の期限が優先日から32ヶ月以内となり、以前より1ヶ月延長されました。

(3)英語原文を基礎に持つ補正が可能
 国際出願を経由して韓国に国内出願をした場合、これまでは韓国語翻訳文に誤訳があった場合、補正をすることができませんでした。この改正により、補正可能な期間内であれば英語原文を基に韓国語翻訳文内の誤訳を補正できるようになりました。
 ただし、補正時に新規事項の追加であったか否かは、審査時には英語原文及び韓国語翻訳文に記載されている全ての事項を基に判断されますが、特許登録後は英語原文のみに基づいて判断されますのでご注意下さい。

(4)特許料不納によって失効した特許権の回復規定の緩和
 特許権の回復には特許発明が実施されていることを証明する必要がなくなりました。

2.審査基準の改訂-コンピュータープログラムも特許保護対象に

 2014年6月19日付で韓国特許庁は審査時にコンピュータープログラムの請求項を物の発明の一種として許容するよう審査基準の改訂をおこないました。2014年7月1日以降に出願される特許出願が対象です。分割出願の場合は原出願日を基準に、PCT国際特許出願は国際出願日を基準に適用されます。

3.意匠法の改正

 国際的に意匠登録の簡素化を目的とするへーグ協定の韓国加盟が2014年7月1日に発効されました。それにともない2014年7月1日に施行されました改正意匠法により、意匠作成者の権利保護及び、出願の簡素化を目的として以下のような全面改正がおこなわれましたのでお知らせいたします。また、この改正法では2014年7月1日以後に出願された意匠が対象になります。

(1)意匠権の存続期間の延長
 意匠権の存続期間が15年から20年に延長されました。ただし、2014年7月1日の施行日以後に出願された意匠に適用されます。

(2)外国のデザインを基にした審査をより厳格化
 これまで韓国内の類似デザインに対して意匠登録を受けることができませんでしたが、今回の改正により、外国で広く知られたデザインについても登録が受けられなくなりました。

(3)先出願の意匠の一部を部分意匠として後出願が可能に
 出願人が同一である場合、先出願された意匠の一部と同一または類似であっても部分意匠として出願を登録できるようになりました。

(4)複数意匠登録出願制度の改善
 一つの出願書で一度に出願できる意匠は従来は20個でしたが、改正後は100個まで増えました。

(5)審査官による補正制度の導入
 出願書類内の些細な誤りは、審査官が出願人に補正要求書を発送することなく、職権で補正することができるようになりました。出願人は、補正に対して異議がある場合は意匠登録料を納付するまでに特許庁長に意見書を提出する必要があります。

(6)新規性喪失の例外を主張する機会が拡大
 出願時以外にも、補正期間や登録後の異議申し立てや無効審判が提起された時に新規性喪失の例外を主張できるようになりました。

4.商標法の改正

 2014年6月11日公布、施行されました改正商標法についてお知らせいたします。また、2014年6月11日以後に出願される商標が対象になります。
(1)著名商標の識別能力希釈化防止条項の新設
 指定商品・役務が類似していなくても、著名商標の識別能力を弱めたり、名声を損なう恐れのある商標は登録を制限する条項が設けられました。

(2)不正を目的とした商標出願登録の防止条項の新設
 他人が使用中または使用の準備をしている商標を、第三者が業務取引などを通じて知りえたとしても、その第三者は他人の商標について同一または類似の商品に対し出願、登録することはできない条項が設けられました。

(3)不正競争行為を目的とした商標登録の使用制限及び取り消し
 著名な人や物の名称を商標登録し、自己の営業利益目的のみに無断で使用することが禁止されるようになりました。また、取り消し審判を通じて他人に許可なく登録された商標を取り消せるようになりました。