日中の実用新案登録制度の比較 of 伊藤吉田国際特許事務所

日中の実用新案制度の比較

はじめに

 近年、中国における実用新案に関するお問い合わせが非常に多くなっております。また、中国で実用新案における実用新案権者から警告を受けたとのご相談も非常に多くなっております。
 確かに、中国においては実用新案は特許と同程度に利用されており、中国において出願される特許・実用新案のうち、およそ半数は実用新案登録であると言われております。

 一方、日本においては、年間数千件程度の実用新案登録出願がありますが、中国に比べればその利用頻度は極めて少ないのが実情であります。

 そこで、日本と中国における実用新案制度の相違を説明しつつ、中国における実用新案登録制度の利用価値についてご説明申し上げます。

日中間における実用新案制度の共通点と相違点

共通点

①無審査制度
 ・・・出願時の形式審査のみで、実体審査はない。
②権利期間
 ・・・出願から10年間

相違点

①権利行使のしやすさ
 中国:日本と異なり、下記のような制限はない。
 日本:権利者が警告する際、「実用新案技術評価書」(その実用新案の権利の有効性を証明するために特許庁が発行する先行技術資料の調査報告)を相手方に掲示しなければならない。また、権利行使後、その実用新案権が無効となった場合、権利者に対し、原則として損害賠償責任を負わせる。
②権利無効のなりにくさ
 中国:実用新案が登録されると、無効になりにくい。無効かどうかを判断するために用意する公知資料は原則2つ以内なので、そのどちらにもあてはまらないものであれば有効な者とされる。
 日本:無効について、上記の様な制限はない。

終わりに

 主要な相違点は上記の2点ですので、これらの点をよくご理解ください。日本の実用新案とは異なり、中国の実用新案制度は特許並みに使いでのある制度であると考えられますので、この点を考慮して実用新案の利用を検討する価値があるかと存じます。
 特に、中国においては、特許出願と実用新案の権利の共存が許されているので、より強力な権利をお望みの場合には特許と実用新案の二本立てで出願することも視野に入れるべきかと存じます。この結果、無審査で早い権利取得が出来る(実用新案)と共に、審査によってより安定した権利を後日取ることが出来ます(特許)。