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もの(装置)と方法

特許にはもの(装置)と方法との2つのカテゴリーがあります。

どちらを選んでもかまいませんし、両方選んでもかまいません。例えば、画像処理装置と、画像処理方法の双方で特許を取ることも好適です。

自分の発明がものだと思えば、ものの発明で特許を取ることになりますし、方法だと思えば方法の発明で特許を取得することになります。


ここで、ものと方法に関しては種々の考え方があります。

方法は、工場の内部や装置の内部で実行されるから、外部からはわからないので侵害の追求が難しいという考えは比較的古くからあります。

これは言い換えれば、ものの発明の方が、そのものさえ入手できれば、侵害の追求が容易(侵害行為の立証が容易)であるという考えです。


ソフトウェア関係の発明の場合、おそらくは特定の装置に制限されたくないという考えから、方法の発明が好まれる傾向にあるようです。

単なる取り決めであるとの拒絶理由が出される場合もありますが、このような単なる取り決めであるとの拒絶理由を多少なりとも防止できるとの観点から、方法だけでなく、念のため装置(もの)の発明も記述しておくことがしばしば行われます。


また、数学的な処理を含む制御方法などの発明の場合、方法の発明だけを記述すると、単なる数学理論であると認定されがちかもしれません。そこで、制御対象物の物理的な性質を考慮した制御装置(ものの発明)などの発明についても記述しておくことが好ましい場合もあります。


なお、発明の多面的な保護のため、ものと方法との両面から発明を捉えて検討することは非常に重要なことであります。

  • 触媒(ものの発明)
  • その触媒を利用した還元方法(方法の発明)

としたり、

  • CADによる設計方法(方法の発明)
  • CAD装置(ものの発明)

とするなど、多様な側面から発明を捉えておくことが、多面的な保護のためには望ましいでしょう。

※ご注意
なお、この文章は、専門用語をなるべく使用しないことを心がけているので、厳密に言えば若干不正確な表現もあります。そこで、実際の具体的な特許出願の際は、弁理士等専門家の見解をお聞き下さい。