外国お役立ち情報

米国の仮出願制度(Provisional Application)について


1.米国の仮出願制度とは、明細書や請求の範囲を作成せずに、論文及び実験結果等のみによって出願を行う制度です。

明細書や請求の範囲(claim)は不要で、実験結果等のみで行うことができます。

  • 典型的には、
    1. 論文や記事等
    2. 実験データ、実験装置の構成図、写真、グラフ、表、等・・・
  • のみで出願が行えます。

日本人でも出願でき、日本語で出願可能です。

1年以内に本出願が必要

  • 1年以内に明細書や請求の範囲を揃えた本出願(non-provisional application)を米国に行う必要があります。
  • 行わない場合、仮出願は放棄したものとみなされます。


2.米国の仮出願に基づいて、優先権を主張して日本に特許出願できます。

したがって、日本人でも出願を急ぐ場合は、この米国の仮出願を利用することができます。

また、正規の出願に比べて安価ですので、取り合えず出願したいという目的に利用しても良いかもしれません。
この場合の優先権は、通常のパリ優先権と同様ですので、米国の仮出願から1年以内に日本に出願する必要があります。


3.仮出願に基づいて、優先権を主張して日本にした特許出願に関して、米国出願結果に基づくPPH(特許審査ハイウェイ)を利用して日本で早期権利化を図ることも可能です。

米国の仮出願は1年以内に米国で本出願を行い、審査を経て米国特許が登録されます。

一方、米国仮出願に基づいて日本で行った特許出願に関して、上記登録した米国特許に基づきPPH(特許審査ハイウェイ)を利用することができます。
少々複雑ですが、仮出願を利用した場合でも日米双方で迅速に権利付与されることは有用ですね。


4.注意点

その1

仮出願制度は安価で簡単ですので、日本人でも一定の利用があります。特に、グラフや図面だけで出願ができるので便利です。
しかしながら、実際に仮出願をする場合には、グラフや図面だけでなく発明の特徴がわかるような記載を入れておくことが好ましいです。
単なるグラフを提示するだけでなく、「120度以上が、○○なので好適」等入れておくだけでも、後の日本出願や米国の本出願でも有利に働くでしょう。

その2

非常に迅速に出願することができますので、弊所では平日であれば翌日中の特許出願を承っております。
ただし米国現地との関係上、なるべく平日にご依頼ください。また、米国の休日等の場合は、数日かかる場合もありますので、予めご了承ください。